窓の外は 相変わらず雨だった
母親に言われて持ってきたカサを
思い出した
真っ青な お天気色のカサ
三階の 目の高さにある木の枝が
大きな滴を受けてしなる
水を得て なお 緑に染まる
灰色の空に 太陽の姿を見いだせず
小さなため息 誰もいない教室に落ちた
いつかは晴れる 止まない雨などないのだから
見下ろした瞳に 鮮やかなカサの水玉模様
動いていくカサの流れに 誰もが帰りを急いでいた
廊下をすぎていく笑い声に 心が晴れた
止まない雨などないのだから
雨の落ちる音が 心地よい音楽になる
六月の小さな音楽