ある日雪が降ってたくさん積もった
雪深い地方の人はハナで笑って
真上の県の人は黙って見ていた
たかが20p積もっただけの道路で転んでいる私を
はしゃいでいる 小さな子供を
確かに些細な雪だった
雪なんて滅多に降らないけれど
これっぽちでは スキーも、かまくらだって作れはしない
足をとられ 時間をとられ
街は 20pの雪にハメられた
ある日また雪が降って また積もった
この前の雪の上に しんしんと降り積もっていく
排気ガスとドロに汚れた雪に
真白い雪が ヴェールをかける
なにもかも、ウソもホントも包んで隠す 真白い雪が
あの下には汚れた雪が
溶けずに残った汚れた雪が
しんしんと積もって隠されていく
足跡も消され ただ白い道の上に
真白い街並みに
「キレイ」だと思った
ある朝 久々に晴れて雪かきをしに外へでた
長靴もシャベルもなくて途方に暮れる私を
誰かは笑わずに一緒に途方に暮れた
滅多に降らないから 誰もが忘れかけていた
この土地にも 雪が降ることを
ある日 靴の乾いた日 なにげなしに外へ出た
誰かが 雪かきした跡があった
シャベルで切り取られた雪に 地層ができていた
忘れかけそうになって 私は思う
最初の雪も キレイだったと