影
夕暮れの帰り道 振り返ってみた
誰かに呼ばれたような気がして
家路を急いで歩を進めていたけれど
ぼんやり後ろ足が回れ右をした
振り返った先には いま来た道があった
道には少し長くなった僕の影が
それに寄り添うように 電信柱の影が数本
それらを繋ぐように 風に揺れる電線の影
道の上に 長い影を落としている
数分前と何も変わらない風景
数分前と何も変わらない 変わるはずもない
何が引き留めるのか わかるはずもない
僕自身が 得体の知れない感覚に
何かを探して 立ち止まった
歩きだそうと踏み出した足が
ぼんやり休めをしている
まるでそこを離れたくないかのように
僕の影はまた少し長くなった