帰り道
君の家は朝日の方向にある
僕らはいつも太陽に背を向けて歩いていく
自分の影と 君の影が並んで
影は黒く 僕らの先を歩く
何かの拍子に
腕が触れた
指が触れた
君の笑い声が 耳をくすぐる
辺り一面 オレンジに染まっていた
僕らが歩いて行く先には
オレンジの色の川がきらきら揺れている
それは
君の笑顔みたいにひどく切ない
あと少しで君の家
僕の家は夕陽の方向
淋しいくらい遠いけれど
朝になると君へ 夕方になると僕に
太陽の光が僕らを照らす
不思議とつながっている気がする
「じゃあね」と冷たい響きの言葉が
優しい君からこぼれていく
振り返った僕は オレンジの逆光で君から見えないけど
ありったけの笑顔で僕は 「またね」と返す
そして僕は 君にいたいほど背中を見つめられ
夕陽の方向へ帰っていくんだ
君が好きだと言った
オレンジ色の陽を一杯に浴びて