18.冴えたやり方

 

 

3月9日。

今日で十八日目。
まったく、やられたって感じ。
もう、これ以上ないって言うくらいに、ものすごく憎らしくなった。
正直、これはハメラレタってことなんだろうか。

たった二日。たった二日だよ。電話が無かったの。
別に待っていたわけじゃないけどさ。

「寂しかった?」

あのバカ安原の第一声。
その瞬間、ハメラレタって思った。
これじゃ、こいつの思う壺じゃんって。
・・・実際。
・・・結局。そうなったんだけど。

今日も、携帯を持って散歩に行った。カルガモを探しながら、電話が来る時間を待ってた。
それは、事実。
カルガモの写真を撮ろうと、ずっと待ち構えていたのも。
誰に送るか、もう決めていたことも。
それも、事実。

「明日会おうよ。きちんと話そう」
そう言って、勝手に会う時間とか決めちゃって。それがもう憎らしいくらい、私にとって都合のいい時間だったりしたから、断われなかった。

あれって、絶対狙ってたよね。
あいつ、女を口説くのに、あれだけ頭を使う奴だったんだ。
冴えてるよね。さすが男。

 

 

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