43.フレーム

 

 

4月2日。

今日で四十三日目。
帰りに寄った100円ショップで、パステルカラーのフォトフレームを見つけた。
丸いフォームに、つるつるの手触りと光沢がすごく気に入って。
思わず欲しくなってかごに入れた。
いろんなものをかごに入れて、いざレジへと思ったとき。
慌ててフォトフレームだけ、返しに戻った。
だって、飾る写真なんて、一つも持ってないもん。
写真、大嫌いだし。
安原とのツーショット写真なんて、一枚も持ってないよねぇ。気が付けば。
本当に、嫌いなんだよ。写真て。
どんな顔しているのか、判らないでしょ?映っている時って。
笑ってって言われても、無理!とか思うし、顔に出ちゃうからどうしようもなくて。
いつも写真写りは最悪なんだよね。

いつからかなぁ。写真が大嫌いになったの。
父さんが、写真好きで。小さい頃は一杯撮ってもらってた。
アルバムぎっしり私の写真。なんて、昔の話だけどさ・・・。
気が付けば、一番の写真嫌いになってたなぁ。

フレームに納められるような、可愛らしい笑顔なんて到底無理だから。
安原とのツーショットなら、更に無理だから。
これ、いらないんじゃないかなって、レジの順番待ちのときに思って。
可愛くて、ものすごく気に入っていたけれど。
パステルカラーのフォトフレームは、戻してきた。
すっごく寂しいかも。とか思いながら、いそいそ返しに走る私。
せっかく来た順番も、また位置から並びなおしでものすごく馬鹿みたいだった。

フレームに納まる可愛い笑顔なんて、一生持ち合わせてないから。
だから、フォトフレームなんて不要。

だけどいつかは、それでも納まらなくちゃいけない時が来て。
それって、遺影の時かも?とか、一人で大笑い。

 

 

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