54.羨望
4月13日。
今日で五十四日目。
今日、買い物に行った。ビタミン剤とか買い置きがなかったのでまとめ買い。
生活必需品って、買い置きがないと不安になる。
ティッシュも、トイレットペーパーも。ビタミン剤も目薬も。
買い置きがあると安心する。
無くなったらすぐに買いに行けばいいんだろうけど、忙しないから嫌い。
そういうので必死になるのって、生活に余裕がないみたいで嫌だ。
あぁ、あれが無い。これが無いって慌ててるのって、すごく嫌だ。
ドラッグストアに行って、ビタミン剤と目薬と。ついでに化粧水とか買ってきた。
そしたら、一人の男の人が。ある棚でじーっとしてるの。
まだ若かったな。高校生くらい?変な奴と思って見てたらさ・・・。
その人、コンドームの棚の前で逡巡してるのね。
レジの人が若い女の人だからかなとか、色々考えたらおかしくなっちゃって。
バカだなぁ、この人。必要だから買いに来てるんでしょ?
ちゃっちゃと買えばいいのに。そんなところに立ち止まってる方が変だって。
だけどね、何を考えているのかと思ったらいきなりがしっと掴んで
つかつかっとレジに向かったのね。
おお、やるじゃんとか思って、ちょっと見守っちゃった。
そりゃぁ、恥ずかしいかもしれないけどさ。必要なもんじゃない?
エロ本とか買う男の人いるけど、堂々とレジに持ってくる人のほうがすごいと思う。
恥ずかしいのは本であって。買う自分じゃないって、その背中が物語ってる感じ。
だけどね、偉いなぁって思ったのは。
若いのにちゃんと考えているんだなって、相手の子の事。
そりゃ、あの年代で子供なんて出来ちゃったら洒落にならないだろうケドさ。
恥ずかしさと彼女をはかりにかけて(そんなの知ったら彼女は驚くだろうね)
ちゃんと買ったんだよ。それって尊敬する。偉いと思うよ。
頑張れ若者。とかちょっと応援したりする。
安原だって、毅然とした態度で買うもんね。
そういうときの背中、おおすげぇって羨望のまなざし。
ちょっと、間違ってるよね。でもいいんだ。そういう潔さ憧れるから。