31.去年

 

 

3月21日。

今日で三十一日目。
親友の誕生日が、すぐそこまで迫ってた。慌てて予定を尋ねたら、既にリザーブ済み。
そういえば、ちゃんと彼氏もちだったんだわ。あの子。
去年は一緒にくだ巻きながら誕生日、祝ってたのになぁ。
男なんて、なにさー。とかカラオケでガンガン叫んでいたかもしれない。
その時の写真を見たら、ひどい落書きもしてあった。
去年の今頃、私は男が欲しかったのか?

彼氏というか、恋人の存在ってある種のステイタスだ。
無いとダメ。みたいな。暗黙の了解が合って。
それこそ、初キス、初エッチはいつまでに済ませるみたいなのもね。
くだらないけれど、そんなのを競っちゃうところって、あるじゃない。
恋人って、別に装備品でもなんでもないと思うんだけどな。
誰かを好きでいる事が恋なら、それがどうしてステイタスになるんだろう。
そんなものの為に、誰かを好きになれるわけが無い。
そんなの理屈ぬきでわかっているはずなのにね。不思議。

去年の、今頃の私は。
誰かを好きになるほど心が乙女じゃなかった。
恋する気持ちなんて、面倒で。
ドラマみたいにキレイなモノでも、素敵なモノでもないと思ってた。
今、恋人と呼べる人が居るけれど。
恋するという気持ちは、未だによくわからない。

それでも私は。
去年の私よりはずっと、いい女になったと思うんだよね。
・・・自惚れとか、言われそうだけど。
誰かに好きになってもらうということは、その分だけ素敵になった証拠だと。
そう、思いたいんだ。

来年はもっと、素敵な女になりたい。

 

 

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