58.シーズン

 

 

4月17日。
今日で五十八日目。
春真っ盛り。今年は寒い冬が長かった所為で、桜は今が見ごろ。
じゃぁ、花見でもするか。ってのんきな安原の誘いでデート。
結局、桜なんて見に行かないで、ホテルのフリータイムを満喫するいつものパターン。
春だねぇ。盛ってんの?
安原でも本能ってもんがあるんだって、ちょっと笑えた。
だからって別に、特別激しいエッチだったわけでもないんだけどさ。
だけど、最中にやたら汗をかいたり、汗っかきの安原の手の平が湿っぽかったりして。
私の感想肌も随分潤ってきたなとか、そんなこと考えてた。

気が付けば、あっちでもこっちでも春なんだ。
桜も咲いてるし、お日様も随分暖かくなってきたと思う。
服もね、みんな春っぽい色合いで、世の中が春っていうシーズンに染まってた。
家まで送ってもらう間にも、ちらほら桜が見えた。
まぁ、腰をすえて花見って訳には行かなかったけど、桜は見たしね。
すれ違う人達が、お酒なんは入って陽気な姿を見ると、春だねぇなんて思う。

季節ってさ、気が付かないうちに変わっているもんなんだね。
知らないうちに選んでいる服が春っぽかったりして。
外の空気も、いつのまにか春の匂いだったりするんだ。
なんかさ、置いていかれたみたいな気持ち。
ぽつんとね、季節においてけぼりくったみたい。

帰ってから、タンスの中を引っ掻き回して、春っぽいもの出してみたんだけど。
私の好みって、どうもモノトーンに統一されている所為か。
身近なものから春なんて見えてこないの。
あぁ、だからなのかな。なんて思って。
新しい服、欲しくなった。
ピンクなんてお呼びじゃないから、せめて明るめの服をって考えてる。

そんな事をしているうちに、またあっという間に季節においていかれそう。
なんだかなぁ。

 

 

<< back  < index >  next >>